渋谷駅まであと少しの所で、電車は急ブレーキ。
人身事故かなと思いきや、大きな揺れが列車を動かし、窓の外に目をやると建物が大きく揺れているのが見えました。
社内放送で大きな地震が来たことを知りました。やがて車内の電気が消え、完全立往生となりました。
携帯電話で慌てて知人、友人に連絡を取ろうとする人、ワンセグで情報収集をしようとする人、諦めて同乗者と雑談を楽しむ人(僕と友人)と、反応は様々。
その後も電車は大きく何度も揺れ、車内に不安の色が濃くなっていきます。
状況把握が難しいのか、社内アナウンスの間隔も長くなり、やがて途絶えます。
1時間、2時間、そして3時間が過ぎようとする時、ようやく救出作業が始まりました。
最寄りの渋谷駅の社員の方が梯子を持ち、車両扉に立てかけ、乗客は線路に降り、歩いてホームまで向かうというものでした。
やっと出口が見えたと安心したのも束の間、僕と同じ車両内にいた男性が、窓から外にいる救出作業中のJR職員に向かって罵声、怒声を浴びせはじめます。
呼応するように男性の周囲にいた数人が加勢、ついさっきまで冷静だった若い女性までが、大声はあげないものの、抗議の輪に加わりました。
3時間も狭い場所にいれば誰もが不快な気分になりますし、もしかしたらJRの方々の対応も完璧ではなかったかもしれません。
しかし、ここで感情的な争いをしても何の解決にもつながらなことは自明。
且つ、抗議グループの沈静化にJR職員の時間が取られ、救出作業の遅れにもなっていました。
職員を怒鳴りつける集団の横を、制服を着てランドセルをしょった小学生の子ども二人や、赤ちゃんを背負った女性が、冷静な足取りでホームに向かって歩いていました。
講義グループの中心は、皮肉なことに一番体力がありそうな男性でした。
災害時に感情的に行動をとること、そして集団心理の怖さを実感しました。
今日は朝から諸々の緊急対応に追われています。
そんな中、とある参加団体の飲食店の方から、集まっている寄付を東北地方の震災地域の義捐金に充てたいと相談のお電話をいただきました。
こちらの説明がご理解いただけず、やや感情的に電話をお切りになられました。
お気持ちは十分わかります。僕だって週末の報道を見て同じように感じています。
震災の精神的なストレスで母乳が出なくなり、粉ミルクを求めて徹夜でスーパーに並ぶ女性の映像を見たときには、なんとか食料支援ができないものかと考えました。
ただ、結論から申し上げれば、難しいんです。
その飲食店の方のお金は、趣旨に賛同して寄付をしてくださったお客様の寄付が手元にあるわけで、いわば何百人、何千人の方のお金を「預かっている」わけです。
そのお金=預り金を、元々の主旨と違うことに使うのであれば、寄付をしてくださった方全員への確認と合意を取らなければいけません。
また、預かる者の立場にある飲食店の方、そして我々TFTは、寄付金がどのように使われるのか、きちっと説明できる必要があります。
海外の例ですが、残念なことに災害時の緊急募金のいくつが、趣旨とは違う私的なことに流用されたケースもあります。
社会貢献活動や寄付活動が、ようやく根付き始めてきた日本で、もしこんなことが1件でも起きたら、全ては振り出しです。
パニック、集団心理の怖さと言う点で、もう1つはスーパー、コンビニの現状です。
今朝別件で、コンビニの本部の方とお話をした際、店舗からの発注対応が緊急事態にあることを伺いました。
被災地の生産工場が破損などで一時操業停止にあるのも原因なのでしょうが、それよりも、東京などので買い占めが大きい気がしています。
事務所の周囲のコンビニからは商品が消えてなくなりつつあります。
供給能力が低下している中で、過剰に消費が増えれば、当然モノ不足が起きます。
そしてその被害を最も大きく蒙るのが被災地の方々なのではないでしょうか?
穀物価格が高騰した際に、先進国での買占めがあり、最も苦しい思いをしたのはモノ不足に喘ぐ開発途上国でした。
規模は違えど問題の本質は同様の気がしています。
お隣・韓国では、このような報道もしていただいています。
自分自身への戒めも含め、決して感情的なパニックを起こさず冷静な行動をとっていきたいと思います。
被災地からは遠く離れた西日本で、今回の震災とその後の成り行きを見つめています。こちらはまだ気持ちに余裕があるので冷静にいられますが、東京の方々は被災地との距離も近く、実際に揺れを経験しているせいもあって切迫感を感じ、自衛行動に走っているのかもしれません。
ReplyDeleteこのたびは同胞の危機ということで、皆が何とかしようという思いが強すぎるため、善意であってもつい冷静さを欠くようなこともあるかもしれません。
でもこんな時こそ、ふだんの私たちの想像力を働かせて、被災地の人々こそがまず優先されること、彼らが実際に何を求めているのか的確に把握してそれに無駄なく応えること、まさにTFTの本領発揮の時ではないでしょうか。